子猫は猫ジャラシに噛みつき、引きちぎろうとしている。


「猫の世界も大変なんだ」


「そうだよ。大人になると毎日が戦争だからね」


ミッキーはそう言い、そしてこちらへ視線を向けて来た。


「美紗っちの世界はどう?」


そう聞かれて、あたしは一瞬返事に詰まってしまった。


あたしの毎日も戦争だ。


猫ほどじゃないにしろ、今の状態だと味方もほとんどいない。


たった1人で戦って、どうすればいいのかもわからない。


闇雲に戦をするよりも、保健室という場所に避難していた方がずっといい。


「しんどいの?」


ミッキーの言葉にあたしは曖昧に頷いた。


「美紗っちは頑張り屋さんだからなぁ」


ミッキーはそう言い、あたしの頭を軽く撫でた。


「どうしてそんなことがわかるの?」


「ん? なんとなく、見てたらわかるよ」


「嘘ばっかり。あたしのことなんて何も知らないくせに」


意地悪だとわかっているけれど、黙っていられなかった。