誰の事も信用できない。


誰にも相談できない。


だからあたしは早退後あの川辺で時間を潰していたのだ。


同じ学校の生徒が来ない川辺で、放課後になるのを待っていた。


そこで出会ったのがミッキーだった。


屈託のない子供のような表情を思い出すと、気持ち悪いさがスッと消えて行くのがわかる。


表面上だけ取り繕ったような友人たちとは違う、ミッキーの笑顔。


だけど、さすがにもう会う事はないだろう。


あたしはつい本名を名乗ってしまったけれど、あたしはミッキーの本名を知らない。


そんな奴と同じベンチでうたたねしてしまっていたなんて、今思い出してもびっくりする。


あたしってそんなに警戒心がなかったっけ?


いや、ミッキーが相手だからそうなってしまったのか。


考えて、う~んとうなる。


「変な奴」


そう呟き、手早く着替えをすませるとリビングへ向かったのだった。