あたしたちは近くの公園に向かい、ベンチに座った。


まだ陽が高いから子供たちが遊具で遊んでいる。


暖かな日差しに包まれて座っていると、出合った時の事を思い出す。


「ミッキーには本当に救われてるなぁ」


考えていたことがポロッと口をついて出てしまい、慌てて口を閉じた。


「あはは。本当に? それは嬉しいなぁ」


ミッキーはさっき自販機で買ったサイダーの缶を手に持って弄びながらそう言った。


あたしの手には紅茶の缶が握られている。


「ミッキーはさ、嫌な事とかないの?」


「嫌な事? まぁ、ないわけじゃないよ」


ミッキーは相変わらずの笑顔でそう返事をした。


「そうだよね。色々あるよね」


学校へ行っていても行っていなくても、毎日色々な事があるはずだ。


あたしとミッキーが見ている世界は違うかもしれないけれど、生きて行くだけで沢山の悩みや悲しみを知る事になる。