あたしは2人の後ろを一定の距離を開けて歩いていた。


どうやら2人は家が同じ方向にあるらしく、時折こうして一緒に帰っていたようだ。


その事実だけでも十分に驚くべきことだった。


そして2人の会話の中心はどうやらあたしらしかった。


「富田さんは大丈夫?」


「あぁ……どうかな」


明人君の質問に透が曖昧に答える。


首を傾げて試案しているようにも見えた。


「どうにかできない?」


「どうにかって……俺が美紗助け舟を出せば余計に荒れるだけだろ」


「そっか……」


「しばらくは様子見かな。どうにもならなくなっても、美紗にはお前がいるしな」


そう言い、透が明人君の肩を叩く。


すると明人君慌てたように「なに言ってんだよ!」と、抗議をした。


なぜだか後ろから見える耳が真っ赤に染まっている。


なんだかよくわからないけれど、2人はあたしのことを心配してくれているようだ。


明人君は透のことを許しているようだ。