「あ……れは、違う」


あたしは床に膝をついたままそう言った。


久美があたしを睨み付けている。


「人の悪口散々書いておいて、バレないとでも思った?」


久美の隣にいる清香がそう言った。


清香はおもしろい遊び道具を見つけた子供のような視線をあたしへ向けている。


クラスの中からクスクスと笑い声が聞こえて来る。


一夜にしてクラスカースト最下位まで転落したあたしを笑っている。


違う。


あたしは別にクラスのトップにいたかったワケじゃない。


どうして久美と仲良くできたのかも、今だに理解できていないくらいだ。


ただ普通に過ごしていたかっただけなのに……。


視線を移動させると、教室の後ろに透の姿を見つめた。


透はあたしと目が合うとニヤリと口角を上げて笑った。