そう聞くと、楓はあたしから視線をそらせて床を見つめた。


「……うん、知ってる」


その言葉に体に衝撃が走った感覚がした。


「明人君はイジメられてた。それはあたしも知ってる。でも、楓はどこまで知ってる?」


「あたしも詳しくは知らないよ? ただ、クラスメートともめている場面を見たことがあるの。明人君は先生にも相談したらしいけれど、解決には至らなかったって」


「その、クラスメートって……?」


あたしと明人君をイジメた犯人は同一人物の可能性が高い。


明人君がモメていた生徒がわかれば、その人が犯人かもしれないのだ。


あたしは知らない間に拳を握りしめていた。


心臓はいつもの倍の速さで打っている。


「相手は……透だよ」


楓が言った。


あたしは唖然として楓を見つめる。


「とお……る……?」