八月も半ばを過ぎ、夏休みも残り僅かになって来た。
 新学期になったら、どうやってソラシドレスキューの活動を続けて行こうか?
 そんな話題が、私達の間で語られ始めた頃だった。

『ソラシドレスキューを応援する』スレに、次のような救助要請が投稿された。
 トレッキング中に女性が滑落して骨折。ドクターヘリにて移送中に問題が発生して
学校の校庭に緊急着陸した。至急の応援求む。
 という内容。
 学校へのヘリ着陸を報告する投稿が複数あり、信頼できる情報の可能性が高い。
 同時に、倒木除去の出動要請もあった。こちらは肯定する情報と否定する情報が、
ほぼ半々の状況。
 普通ならば、トレッキング事故の救助要請を受けるのが、妥当な判断だ。

 ところが、ここで陸くんが首を傾げた。
「トレッキング事故の方は、肯定投稿が異様に多いね? 投稿時間も集中してるし、
内容も同じ文面ばかり。そのくせ、元の事故そのものの報告は無い……」
「そういえば、そうね」
「倒木除去の方も、肯定と否定が半々ってのは、珍しいよね。偽情報の時は、大概が
否定の投稿になるんだけどなぁ」
「トレッキング事故の件が、疑わしいってこと?」
「……うーん。なんとも言えない……」