そういうと、陸くんはポケットからスマホを取り出し、画面を二三度タップして、
私に手渡した。
 スマホの画面には、掲示板らしきサイトが表示されている。
「それ、有名な掲示板サイトの『ソラシドレスキューを応援する』ってスレなんだ。
最近は、偽の救助要請を見分ける方法について議論されてたんだ。実は、僕も匿名で
参加してた。それでね、昨日の夜に、見分ける方法の解決策が提案されたんだ」
「解決策?」
「救助要請をお互いに検証しあうのさ。救助要請が上がったなら、近くにいる人に、
検証の情報を上げて貰うんだ。確かにそんな事故が起きてる。とか、その救助要請は
本物。とか」
「ふんふん」
「逆に、天候が矛盾してる。とか、そんな建物は存在しない。とかの情報を貰えば、
偽の救助要請だと分かる」
「なるほど! それなら、区別できるかも」
「完璧じゃ無いけどね。サクラを使って騙す事も出来るし、逆に一人だけで遭難した
場合などは、証明できる人が側に居ないわけだし」
「そうか……」
「でも、何も無いよりマシだよ。それに、相互検証に参加する人達が増えてくれば、
精度もあがる。今度からは、この掲示板に救助要請を上げて貰う事にすれば良い」

 どうやら、道筋が見えてきたように思える。
 そして何よりも、陸くんが離れている間も、ソラシドレスキューの事を考えていて
くれた事が嬉しい。
 私の中に、新しい希望の光が燈った気がした。