翌日、陸くんはAI部室にやって来なかった。
 10時が過ぎ、11時を見送り、正午の時報が消え去っても、陸くんは現れない。
 スマホやメールで連絡を入れても応答なし。
「どこか、具合でも悪いのかな?」と口にしたけど、それが自分達を胡麻かすための
言葉であることを、その場の全員が理解していた。

「あの野郎、逃げやがって」アッキーが悪態をつく。
「きっと、陸くんも悩んでるんだよ」と庇ったが、シーちゃんは同調してくれない。
 SNS上には、幾つの救助要請が上がっていたが、何もすることは出来なかった。
 切羽詰まった要請がないのが、唯一の救いだ。

 翌日も、その翌日も陸くんは姿を現さない。連絡もとれない。
 ネット上では、私達の動きがないことに対する話題が上がり始めていた。
「ソラシドレスキューお休み?」
「嵌められた事件が原因?」
「そんなんで活動止めるなんて無責任じゃ?」
「情報の真偽が分からなくて、動けないんでしょ」
 といった具合。
 好意的意見と批判的意見が半々てところか。