☆☆☆

歩いても歩いても辺りは木に囲まれているばかりで、ポストなんてどこにもない。


空はだんだんオレンジ色に染まりはじめていて、それでもポストは現れない。


足元はぬかるんでいて歩きにくく、なかなか前に進むこともできなかった。


学校帰りにちょっと寄り道する気持ちで来たことを、あたしは深く後悔していた。


「どっこにもポストなんてないじゃん!」


誰もいないのに、1人で愚痴を吐いてまた歩く。


そろそろ戻った方がいいという気持ちと、もう少しだけ探したいという気持ちがせめぎ合っている。


木から木へとカラスが飛び移り、カーカーと鳴き声を上げる。


それは森の中で聞くととても不気味な声に聞こえた。