一瞬、記憶が真っ白なインクで塗りつぶされていた。


気が付けばあたしは同級生たちに取り囲まれていた。


あたしの腕の中には女の子がいて、大きな声で泣いている。


助かった……?


そう思って視線を泳がせてみると、そこにはお姉ちゃんの姿があった。


手の甲を怪我している。


「お姉ちゃん……?」


「なんで無茶なことするの!」


手の甲から血を流しながら、あたしへ向けて怒りはじめるお姉ちゃん。


あたしは状況を理解できず、ただただ唖然とするばかりだった。