お姉ちゃんがなんの話をしようとしているのか、聞かなくてもわかった。


「彼のこと」


お姉ちゃんの声がテレビにかき消されそうになる。


その瞬間、あたしの胸に激しい怒りが湧いて来た。


「なんで、謝るの?」


自分の声が震えていた。


謝るということはあたしが彼を好きだったと、知っていたと言う証拠になる。


「どうしても、好きだった」


そう言ってお姉ちゃんがあたしをみた。


その目には涙が滲んでいる。