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その日は眠る事ができなかった。


お姉ちゃんに言われた事が何度も頭の中で再生されて、その度にキツク目を閉じた。


楽しい事を考えてみてもうまくいかず、朝までの時間がとても長く感じられた。


翌日も、その翌日も、あたしは両親に話しの真相を聞く事ができず、悶々とした日々を過ごすことになってしまった。


あんな会話があったことなんてまるで嘘みたいに、みんないつも通りの日常を過ごしている。


少しも変わったところなんてない。


だから、あたしはなにも聞かなかったことにした。


なにも知らなければ、こんなに悩むこともないのだから。