「そうだけど。こんなに小さいんだから大丈夫だよ」


クラスメートが言う通り犬はとても小さい種類で、なでられても大人しくしている。


もしかしたら大丈夫なのかもしれない。


白くてフワフワした毛並に触れてみたい。


恐る恐る近づいて行ったその時だった。


男子生徒が割って入り、犬の頭を強引になでた。


次の瞬間犬は悲鳴のような声を上げ、男子生徒に噛みついていたのだ。


あたしは驚いて立ち止まり、その光景を見ている事しかできなかった。


男子生徒が手をひっこめ、そこから血が流れ出すのを見た。


随分と深く牙が食い込んでいたようで、血が止まらない。