「早く帰ろう」


お姉ちゃんの手を握りしめてそう言った時だった。


「サオ、ちょっといいか?」


クラスメートの修一がそう声をかけて来たのだ。


普段はあまり話をしない修一に、あたしはとまどってお姉ちゃんを見た。


「行っておいで」


お姉ちゃんがそう言ってあたしの手を離した。


早く帰らなきゃ怒られるのに……そう思いながらも、あたしは修一と一緒に教室へ逆戻りしていた。


教室内にはもう誰の姿もない。


薄暗いし、窓は風で震えているし、余計に怖くなって来た。