あたしにはひいおじいちゃんがいた。


あたしの記憶の中のひいおじいちゃんは病院のベッドの上にいて、シワシワの顔を更にクシュッとさせて笑っていた。


「サオ。お前にこのネックレスをやろう」


ひいおじちゃんがあたしへそう言ったのは星空がとても綺麗な７月７日のことだった。


病室の窓から天の川を見ていたあたしは、最初ひいおじいちゃんの言葉が聞こえなかった。


次に、ひいおじいちゃんが苦しそうにせき込む音で振り向いた。


「おじいちゃん、大丈夫？」


あたしは慌ててベッドに駆け戻り、ひいおじいちゃんの背中をさすった。


幼い頃のあたしでも、ひいおじいちゃんがもう長くないことはなんとなく理解できていた。