きびすを返して、熱り歩く、美咲。
「何、あいつのあの態度。もう5年も付き合っているのに。」
「自分の都合ばかり、優先させるんだから、いやになっちゃう!」と言いつつ、だれも、追ってこないので、悲しくて、涙が出てきた。
「ふえーん!」
「よう、姉ちゃん、寂しいなら、付き合わないか。」
涙を拭きながらも「間に合ってる。」と言い切った。
相手は、二人組だった。
「いいのか、そんな強がりいって。そんな娘には、お仕置きしないとな、ヒャッホーウ。」
「ちょっと、手を離しなさいよ!」美咲は!恐ろしさで、パニックになっていた。周りにには、人も家もない。
「その手を、離しなさい。」華恋だった。その顔は、怒っている。
「おい、お前に、そっちをやるよ!」
出してきた手を、華恋は、グイと引っ張り、腹を打った。
相手は、腹を押さえて、崩れ落ちた。
それを見た、もう一方の相手は、飛び出しナイフを出して、クルクルと器用に、回した。
「ズタズタにしてやるぜ、覚悟しな。」
華恋は、素早くナイフを持つ手を、掴み後ろに回り込んだ。カチ。暴走モードが入った。

右手は、ありえない方向に曲がった。さらに、首根っこを左手で持ち上げた。

「もういい。華恋。そこでやめろ!」通常だったら、やめる華恋だったが、耳に入らない。

そのまま、不良を投げつけた。もう、相手の意識はない。
「くそ、こうなったら。」といって、華恋の唇にキスをした。

「は、健太郎さん、私は、いったい。」
「いいんだ。美咲を助けてくれて、ありがとう。」
「何、そのキス、しかも、本物の彼女の前で。酷くない」
「暴走モードの華恋を止めるには、これしか、ないんだ。だから、別れようといったんだ。」
「何、その漫画みたいな設定は。」
「健太郎じゃなくても、いいじゃない。」

「なぜ、俺でなければ、ならないか、あとで話す。産業スパイが襲ってくるかもしれないし、俺たちと一緒だと、美咲が危険だ。」

「私は、危険であろうと、構わない。とにかく、いつでも健太郎と一緒にいたいの?」それは、美咲の必死のお願いだった。助けてもらったし、邪険にはできない。

「華恋だって、不死身じゃない。いざとなったら、逃げるしかない」と健太郎が言った。
「これから、私たち、どうなるの?」と美咲。
「幸いにもAIについては、よそより進んでいる。この娘が、気持ちを持てれば、暴走モードもなくなる。そうしたら、アンドロイドは、人類にとって、脅威では、なくなるんだ。」

美咲は、先ほどのキスを思い出し、いくらアンドロイドとでも、許さない!」と胸に秘めた。