「いや〜、まじで萎えるわーーーーー」

「まぁまぁ、元気だしなよ・・・」


月曜日。バスの中でりながずっと言ってる。

あれから私は結局、昼からバイトがあると、かいくんの誘いを断った。

夜ならまだしも、昼間歩いてたらバレそうであまり遊びたくない。


「だって会ったことまだないんだよーー??最近さ、返信遅くなったなと思ったらいきなり「好きな人ができた」だよ?信じられない!!!」


プンプン怒ってるりなを、私は苦笑いしながら見る。


「でも、好きな人ができたから遊ばないって、すごい紳士だよね」



りなの一言に、私の心が動く。

彼女がいるから遊ばない、ならわかる。
好きな人がいる、が理由で遊ばない人なんている?

他にもっといい人がいるかもしれないんだよ?
私なんて、彼氏がいても遊んでるのに。


私が思ってたよりかいくんは、もっともっと良い人だったのかもしれない。

チャラいだの、女慣れしてるだの、失礼なことばっかり思っていたけど。
実際は、とても紳士で優しい人なのかもしれない。


この世には「かもしれない」があるから、怖い。