「電車に飛び込もうとしたって…」


アタシがそう話してしまったからだと思うけど
驚いた様子の煌月。
表情が険しくなってるよ。


「早乙女さんが何を思って
 そんな行動に出たかはわからない。
 だけど今の彼女を独りにしちゃダメだよ」


誰よりも煌月が1番よく理解してると思うけど
ちゃんと言っておかないと。


「…悪かった。
 迷惑掛けて。
 俺がついていながら…」

「特に迷惑には感じてないけど…」


何もそんなに眉間にシワを寄せて
自分を責めんでも…。


「ヒナコがどうしてそんな事をしようとしたのか
理由はだいたいわかってる…。
あのな…」

「え?うん…」


どうやら
彼女の闇を話してくれるらしい…。

ひとまず早乙女さんはまだ眠っているし
煌月をリビングに案内し
お茶を入れてアタシも彼の正面に座った。


「今日は…
 アイツの母親の、命日なんだ…」

「え…」


いきなりの衝撃告白に
アタシは一瞬フリーズしてしまった。

早乙女さんにお母さんがいないなんて
煌月に聞かされなければ知らなかった事だから。