――――その夜。


「37.3℃
 今日はもうコレ以上は上がらないな」


体温計の表示を見て安堵し
ちょっと仕事をしようかと思う。
早退しちゃって職場で出来なかった今回の企画の
まとめやら報告やらだ。

コーヒー片手にノートパソコンを開き
さっそく始めようかと思ったら。


―――ピンポーン。


ん?来客?

時計は20:00を指している。
こんな時間に誰が何用?

作業を中断しドアモニターで確認すると
そこに立っていたのは


「煌月?」


珍しい事もあるんだな。
何しに来たんだか。


「何、どうしたよ?」


ドアを開けるなり
思わず開口一番に用件を聞いてしまった。
普通は『こんばんは』だよな。


「どうしてるかと思って
 景気づけのお見舞いだ」

「ど、どうも…」


『なんだ?景気づけって』と思いながら
2つ持っていたレジ袋のうち
その1つを手渡され中を見てみると
まさかの酒とつまみばかり。


「お見舞いにアルコールって…」


この男
どうして病人に酒を持ってきた?
普通、水とかゼリーとか
体を労わるモノを持