「打ち合わせの時間だから
 迎えに来た」


いやいやいや。
職場内で迎えに来られてもねぇ。
たかだかすぐそこの部屋なんすけど。


「迎えって…
そんな事されても
 困るんですけど…」

「いいじゃん。
 少しでも一緒にいたいしさ?」


アタシは少しでも離れたいんです。
って言葉にしたとしても
理解してくれないんだよなー…。

言いたい事は山のようにあるけど
言うだけ無駄な気がして
黙って渋々ついて行く形で
広報室をあとにした。


編集室の前に差し掛かると
煌月と早乙女さんが一緒にいる姿を目撃。

アイツ…
また柔らかい穏やかな眼差しを彼女に向けてる。
文句言いながらも
案外、まんざらでもないんだろうな。

まぁそれならイイ事だ。
2人が上手くいってくれれば
こっちに火の粉が飛ぶ事はないんだし。


「セツナ?」

「え…」

「着いたけど
 中に入らないのか?」


独り言を考えてたら
目的地に到着していた事に気付かなかった。
(ついでに元カレと一緒だって事も忘れてた)

この人に振り回されず
今日からしっかり仕事をしないと。