「…なぜ?」

「同情とかされても困るから。
 あの人に話す必要はない。
だから絶対言わないで」

「…了解」


弱味を握られるのも
いろいろ詮索されるのもイヤ。
この数年で
お互いの環境は大きく変わった。
あの日
別々の道を歩む事を決めて
もう振り返る事はないんだから。


「セツナ」


アタシと煌月が話している仲を
突如出没し割って入ってきたのは、話題の元凶。

出たな、陽向アルト。←え、敵?


「名前で呼ばないでくれます?
 誤解を招きます」


それでなくても
アタシ達が2人で打ち合わせしている姿を
好ましく思ってない女性陣が多いんです。
怪しまれて妬まれるのは不本意なのよ。


「付き合ってた頃は普通に呼んでたから
 つい癖でな」


“つい”じゃ困るんだってば。
堂々と“付き合ってた”とか言わなくていいからッ
この男…
急にいろいろオープンになりやがって。(初日のハグとか…)


「2人の邪魔するのもアレですし
俺も仕事なんで失礼します」


ちょッ、煌月!?
に、逃げたな。

不敵な笑みを浮かべながら
その場を立ち去るコイツが
なんとも憎たらしい。