「仕事の話をしていただけだから
 アタシは自分の部署に戻りますね」


しっかり逃げよう、そうしよう。
“触らぬ神に祟りなし”って言うでしょ。

2人の時間を邪魔しちゃいかんと思い
すぐにその場を離れて
編集部をあとにしようとしたのに――――


「あ、待ってくださいッ七星さん!」


そう言って早乙女さんはアタシを呼び止め
パタパタとこちらに駆け寄ってきたではないか。

アタシを開放してほしいんですけどね、あはは。


「行きますか?
 今日の食事会!」

「…へ?」


食事会?
なんの話だ?
新手の合コンか何かか?


「もしかして忘れています…?」

「は、はぁ…」

「ちょっと前に回覧でまわってた
 “他部署交流の食事会”ですよッ」

「…はぁ」


そんなのまわってきたかなー…
ってか見たか?
…イチイチよく覚えてないな。←最低だ。


「私もジン君も行くので
 ぜひ七星さんも来てくださいね!」


…ん?
わざわざそれを言うために呼び止められたのか?
いや、それよりも
わざわざ見せつけるために誘ったのか?
女って、怖ぇ…。