結局この日
1度も煌月に会う事はなかった。

アタシ自身も昨日の今日で編集部に行く気になれず
早乙女さんにも会う勇気がなかったから
大人しくデスクワークを済ませ
定時でひっそりと帰宅。


処分がどうなったのか
煌月にLINEしてみるか…
いやでもな…

直接聞いてみるか。
…それもどういうモノか。


イロイロ思い巡らせながら煌月の部屋の前に差し掛かり
一度は通り過ぎたモノの
アタシは自分の部屋に入る足を止めてしまった。


「具合、大丈夫なのか…?」


そっちも気になる…。

もう。
そんなに考えるなら
直接聞けばいいじゃんアタシ。

って半ば開き直り
Uターンして煌月の部屋の前。


意を決する思いで
チャイムを鳴らそうとした
まさにその時だ。


―――ガチャ


え・・・。


「こんばんは、七星さん」


鳴らす前に先にドアが開き
目の前に現れたのは早乙女さん。

タイミングが悪すぎる。

どうしてアタシは考えなかった?
煌月には常に早乙女さんの存在がある事を。


「こ、こんばんは…」


まさしく文字通り。
“全身が硬直状態”だ。