「え、何…どうしたの」


思いがけない行動に
振り切る事も出来ず停止。


「お前…
 やっぱ警戒が足りない」

「・・・は?」


急に何言いだすのさ、アンタは。
誰に何を警戒するのよ。


「自分が女だって自覚してんの?」


おい。それは失礼だぞ。


「生物学上も心も体も正真正銘“女”です。
 何そんな当たり前の事聞いてんの。
 熱で頭が変に――」

「俺が言ってんのは
 こういう事だよ」

「え…」


アタシの言葉を遮ったかと思うと
また突然コイツは
今度は掴んでいた腕を引っ張り
自分の方へと引き寄せようとした。

頭ん中が大パニックだ。

煌月のいきなりの行動に体制を崩したアタシは
よろめいた拍子に
そのままコイツに体を預けるような形になるし
何より1番ビックリしたのは…


「へぇ…随分と大胆だな」


目の前には煌月の顔。
唇同士が当たりそうな
ほんの数センチの距離にあるって事実―――