アタシと煌月が働く出版社の事務員で
マドンナ的存在。
そしてこの人が煌月の例の“幼馴染”


「今日はどうしたんですか…?」


なんて聞いてみたけれど
目的なんて1つしかないのはよくわかっている。


「ジンくんの仕事が終わるの遅いみたいなので
 ご飯作って待っていようかと思っていて」

「そ、そうなんですね」


まぁそんな事だろう思ってましたが。
そんな事よりも
幼馴染なのに合鍵を持ってるあたり
どう見ても彼女だろ。


呼び止められてしまってから
まさか『んじゃ』って拒否も出来ず
いつの間にか部屋の前まで到着してしまった…。

イヤなんだよね…
この人の前で自分の部屋に入るのは。


「七星さんとジンくんって
お隣さんなんですよね…」


ほら、そういう事を聞いてくるから。
隣同士って事実がこの人が知って
事ある事に詮索してくる。
女の嫉妬が怖いのはわかってるつもりだけに
関わりたくないんだよ、アタシは。


「隣とは言っても会う事なんて
 ほとんどないから…」


我ながら言い訳が必死だ。