「彼は何も知らないよ。
 言ってないし」

「え…」

「あんな状態だったから
アタシもさすがに何かあったんだろうなとは思ったよ。
でも煌月に説明するのは自分の言葉で言いなね?」


ちょっと強引な気もしたし
嘘をついたのも申し訳ないけど
今はコレがいいと思ったんだよね。
煌月が知ったなんて言ったら
それこそパニック起こしちゃうでしょ。


「…はい。
 ありがとうございます…」

「じゃぁ…ほら!
 先にお風呂入ってきなッ
 頭も体もスッキリするよ?」

「…七星さんは
 何も聞かないんですか?」

「ん?」

「どうして私が
 あんな事をしたのか…」


んー…
煌月から聞いちゃってはいるんだけどねぇ…
でもそれは忘れようと思うし。


「みんなイロイロあるモンよ?
 アタシにだってあるし
 だからこそ口は挟めない。
 詮索しても余計なお世話なだけだしね」


聞いたときは衝撃的だった。
アタシの知ってる早乙女さんって
“煌月を一途に想う女子”だったけど
その想いの深さが全然違ったんだから。

確かにそれは拒絶なんて出来ないか…。