訳が分からないと、ポカンとする俺に
「ちなみに、これは母さんの意見でもある。」
そう付け加えた言葉に
目を見開いた。


「…母さんが?」


有り得ない。
今まで一度も親父に逆らったことのない
あの母さんが…
それに…


「母さんは俺が嫌いだろう?
現に、俺はここ最近まともに会ってないし
話もしていない。
母さんは…俺の事…。」


「修也、それは違うわ…。」


そっと開いた扉から顔を出したのは
最後にいつ会ったのかも覚えていない
母さんの姿だった。


「…母さん。」


「修也、今までごめんなさい…。

私の実家もね、会社を経営していたんだけど
業績が良くなくてね…。
お父さんとは政略結婚だったの。
だからお父さんには何も言えなくて…
って、こんな言い訳聞きたくないわよね…。

でもね、修也の事、嫌いなんて絶対ないの。」