「…はい。」


どうせ使用人の誰かだろうと
適当に返事をすると
そこへ入って来たのは


「久しぶり、修也。」


「…兄貴。」


一ヶ月ぶりくらいに姿を見る
兄、智也だった。


「今ちょっといい?」


「…別に。」


「いいって事ね。お邪魔するよ。」


俺の返事をYESと捉えた兄貴は
すたすたを部屋の中へ来て
ベットに座る俺とはちょうど向い合う形で
ソファへと腰を下ろした。






「…突然なに?」


問題はそこだ。
兄貴とは別に仲が悪いわけではない。
ただ、俺が好きじゃないだけ。


それを分かってか
兄貴は必要以上に俺に干渉してこなかった。
8個も年上の兄貴は大人で、
親父の右腕として会社で働いている。


そして俺とは反対に
柔らかい喋り方と爽やかな見た目で
周りの信頼を得てきた。