家に着き、ばかデカイ門を前に
またため息が出る。
ギィーと音を立てて
勝手に開かれる門にはもう慣れた。
「おかえりなさいませお坊ちゃま。」
使用人たちに
出迎えられるこの光景にも。
「……」
俺が横に一列に並んでる数人に
挨拶を返していたのは
まだ純粋だった小学生の頃だけだ。
「坊ちゃま、毎日自転車ではなく
お送りするようにと
旦那様から言いつけられておりますので
明日こそはお車で…」「嫌だ。」
そんな俺の態度に使用人たちも慣れているから
構うことなく話しかけてくる。
これも毎日帰るたび、
朝、家を出るたび言われてるから
聞き飽きた言葉。
「嫌だと申されましても…。」
「何度言ったら分かる。
嫌な物は嫌だ。」
今の俺は確実に駄々をこねる子供だ。