自転車に跨って
準備万端の私をしばらく見て、
それから修也はいきなり笑い出した。


「…ははっ!
お前やっぱ変わってんな。
ってかバカ?普通お前が後ろじゃねーの?」


「え、そういうもん?」


「そーいうもん。
でも、お前が漕ぎたいなら漕げよ。」


そう言って自分のカバンを背中に背負って、
私の後ろに跨った。


「ほら、早く。
ぜってー転ぶなよ。」


最初は目を点にしていた修也だけど
今は何故かノリノリのご様子。

そんな修也に私も楽しくなってきて
気合を入れた。


「よーし!出発進行ーー!」


グッと力を入れて
ペダルを漕ごうとしたんだけど…


「…うっわぁ…っ!!!!」


ガシャーーン!!


と音がして体は地面に投げ出され
倒れた自転車はくるくると
タイヤをまわしていた。