「ね、山内君。
今日も修也借りてっていい?」
そう聞けば小さく笑って
「借りるも何も、俺に止める権利はないよ」
と言った。
その言葉に、
私は彼の修也に踏み込めない
何ともいえない気持ちがあふれ出ている気がした。
だから修也がどう思ったのだろうと
気になって彼の方を見れば
いつものようにただ、笑っているだけだった。
「そっか!じゃあ、行こう!
また来るね!バイバイ!!」
私は修也の手を引っ張って、
山内君に反対の手で手を振り
病室を後にした。
私が向かうのは
今日は屋上じゃなくて自転車置き場。
「ね、約束通り自転車で来てくれた?」
人が近くにいなくなったところで
私は口を開いた。