別に興味を持ったわけじゃない。


ただ、あんな話を聞いてしまえば
詳しく聞きたくなるのが
一般的な人間だろ。


「別に、そういうわけじゃないから
やっぱ教えなくていい。」


そう言って缶コーヒーに口を付ければ
慌てたように声をあげた。


「教える!教える!
教えなきゃ同情してもらえないもんね!?」


こいつは訳わからない理論を言ったのち、
自分の事について話し始めた。




「私の病気はね、すごく珍しい癌なの。
白花病って言って、皮膚がんの一種。
これは、体のあちこちに
白い花のような斑点が現れるの。
その斑点が癌細胞なんだけどね。

それで、この癌は他の癌と同じで
色んな場所に転移することはある。
けど、他の癌と違う所は治ることはないってとこ。
抗がん剤が効かない癌。」