ぼーっとしている俺に
こいつはさっきの事なんて
まるでなかったかのように
話しかけ、また俺の腕を引っ張った。


「じゃ、またね~!」


バイバイとナースたちに手を振り
俺に構わずどんどん歩いていく。


そして着いたのは中庭。


「あー!ジュース飲みたい!
ねぇ、買ってきて?」


と、先に椅子に座ったこいつは
俺にそんなお願いをしてきた。


いつもの俺なら
何の迷いもせず、断るけど
同情しているんだろうか…。


なんでかその頼みを断る事が出来ず
言われた通りジュースを買って
アイツの元へ戻った。


「わーい!ありがとう!
でも、急に優しくなっちゃって!
きもちわるーーい!」


キャハッと冗談交じりに笑ったこいつは
缶をプシュッと開けて
ジュースを口に含んだ。