そのカバンを放置するわけにもいかず、
あいつを追いかけようと
屋上を出て、ナースステーションの前を
通りかかった時だった。


「ねぇ、聞いた…?
一架ちゃんの事…。」


俺はその言葉にピタッと立ち止まってしまった。


一架って…
珍しい名前だし、あいつしかいないよな?



悪いとは思いつつも
俺はナースたちの会話に耳を傾けた。


「うん、さっき聞いた…。
今回の検査結果、相当悪かったみたいね…。」


…検査結果?どういう事だ?


「かわいそうにね…。
今がきっと一番楽しい時期だろうに…。
あんなにいい子なのに
あと、半年しか生きられないなんて…。」


その言葉に
俺は自分の耳を疑った。