「ねぇ、山内君っていい人だね!」


フェンスの向こう側をじっと見つめていて
私の方を見ようとはしない彼に
そう話しかけた。


「…別に。」


答えてくれはしたけど別にって…





「ねぇ、キミがどうしてそんなに壁を作って、
この世界に希望を持てなくなっちゃったのかは
分からないけどさー、
もっと周りをよく見てみたら?
自分の先入観で全部を諦めてたら、
手に入るものも入らなくなっちゃうよ?」


実際、彼は今、山内翔君という
彼を理解しようとしてくれる人が
傍にいるのにそれに気付かず、
差しのべられている手を取る事が出来ない。


そんな勿体ない事ないよ。



と思ったことを言ってみるも無反応。