「ちょっと待ってってば!!」


追いかけても足の長さが違うせいで
少しずつ距離は離れていく。


「ちょっとーー!」


ええい!看護師さんたちごめんね!!


私は心の中で謝り、
廊下を駆け出した。




「待ってって…言ってるでしょーー!」


やっとこ彼に追いつき、
そのまま腕を引っ張って歩き出した。


私は知っている。
ヤツは人の目がある場所では
私の事を無碍に扱わないという事を。


と言うか、他人、誰に対しても
優しく見せるという事を。


だから、それをいいことに
ぐいぐいと彼を引っ張り
今日も誰もいない屋上へとやってきた。



ぱたんと扉の閉まる音がしたと同時に


「離せよ。」


ブラック修也君が姿を現した。