そして10分ほど経った頃、
「あ、一架ちゃん、いたいた!」
病室に現われたのは
待ち人の修也君ではなくて
看護師の田中さんだった。
「あれ、田中さんどうしたの?」
「どうしたの?じゃないでしょー?
なにか忘れてる事ない?」
と言われて記憶を蘇らせると…
「っあーーー!忘れてた!!」
今日は昨日の結果を聞く日だった。
普通は結果が出るまでに
もっと時間がかかるものだけど
私の場合は悠長なこと言ってられないから
先生たちが頑張って
すぐに結果が分かるようにしてくれてるんだ。
「もう、一架ちゃん、
一個の事に集中すると
他の事考えられなくなっちゃうんだから!
早く来てねー。」
呆れ顔で帰って行く田中さんに
「はーい!」と返事をして
「ね、山内君!
修也君が来たら、私が戻ってくるまで
引き留めててくれない!?
どーーしても会いたいから!」