もう、何か吹っ切れた俺は
自分を取り繕う事を止めた。



そして、彼女の手を振り払おうとしたけど
彼女もグッと俺の手を握る手に
力を込めた。



「他人じゃないよ。
だって名前も学校も知ってるし。」


そう、彼女はヘラっと笑って続けた。


「さっき、死なせない
とは言ったけどさ、間違えたから
訂正するね!




死ぬくらいならさー、
その命、私にちょーだい?」




「…は?」



なんか拍子抜けした。
てっきり、綺麗事並べて
説得させられるのかと思ったから。


「ね?ちょーだいよ!」


ポカンとしてる俺に
彼女は未だにちょーだい、ちょーだい
と、子供のようにねだってくる。


意味が分からない。


俺の命を彼女にあげる事は出来ないし、
彼女もそんな事は分かってるはず。


だけど、彼女は笑顔を保ったまま
俺の返事を待っている。