「夜景を眺めてたんだよ。」


そう答えれば相変わらず
ニコニコしたまま、
何故かフェンスを越えて
こっち側に来た。


そして夜景が綺麗だのと
べらべら話し始めたから
鬱陶しくなって「帰らなくていいの?」
と聞けば「大丈夫」と
また笑顔で返してきた。


いや、大丈夫
じゃなくて帰ってほしいんだけど…


なんてことは言葉に出来るはずもなく、
仕方ないから彼女が飽きるまで
このままでいようと思った。



そして少し経った頃
学年や名前を聞かれ、
答えていくとよろしくと
手を差し出された。


握手のつもりなんだろうけど
俺はその手を取る事はしなかった。


女はみんな、
ちょっとでも触れたりすれば
自分に気があるんじゃないかと
勘違いするから。


ほんと、つくづくめんどくさい。