「わ!ちょ!
そのままこっち向いたら
石鹸落ちるよ!?」
もこもこに泡立てた石鹸は
私が言った通り、
ぺちゃっと音を立てて床に落ちた。
「ほら落ちた!!」
「あぁ!やっちゃった!
一架!タオル取ってくれ!」
そう言ってタオルを受け取ろうとする
お父さんに
「いいよ、私拭くから
顔流した方がいいと思うよ?」
と、言うと
「あ、そっか」と一家の大黒柱とは思えない
マヌケな声を出して
私の言う通り、顔を洗い始めた。
「ふーー!さっぱり!」
私が床を拭き終えると同時に
顔をごしごしと拭いて
笑みを浮かべるお父さんと
やっとこ視線が交わった。
「ふふ、よかったねー。」
「あぁ。」
そう満足げなお父さんと会話を交わし、
私も顔を洗い始めた。
こんな感じで桜井家の一日は
始まって行く。