もう、何もかもが嫌だった。
全て、終わりにしたい…
そう思った時には
俺は無意識のうちにフェンスを越えていた。
冷たいコンクリートの上に座り、
足を放り出した。
後ろについている手を押せば
楽になれる…。
そう、自分の体を
前に押そうとした時だった。
「ねぇ!何してるの?」
後ろから女の声がしたのは。
ゆっくりと振り返れば、
月明かりに照らされた
可愛い女の子がいた。
俺とは違い、
この世界に希望を持っているかのように
ニコニコしながら近付いてきた。
タイミングが悪い女だと
イライラしながらも
長年貼り付けた笑顔を
スッと出せてしまう自分に
笑いそうになった。