「そう、一架の架橋ノート。
あの子、病気が分かってから
ずっとこのノートに日記を書いてたの。
それがこの半年で今までに比べて
グンと量が増えてね…。
それだけ、あなたとの想い出が濃かったのね。」
ノートを撫でながら
何かを思い出すように言ったお母さんは
俺にそのノート達を差し出した。
「私がね、あなたに渡したかったのはこれなの。」
「でも…。」
「あなたにも読んでもらいたくて。
…だから受け取ってくれる?」
一架の日記。
勝手に読んでもいいのかと悩んだけど、
悩んだ末にそれに手を伸ばした。
「…読んでも、いいですか…?」
「もちろん、どうぞ。」
俺は、この中に書かれていることを
受け入れられる覚悟なんてなかったけど、
生前の一架が何を思って
どう感じていたのか、
少しでも一架に近づきたくて
ノートを手にして読み始めた。