【一架Side】
あの夜、修也がお風呂へ行ってから
布団にもぐった私は声を押し殺して泣いた。
いつぶりにあんなに泣いたんだろう
ってくらい泣いた。
修也の気持ちが嬉しくて。
だけど、その気持ちに応える事が出来ない自分が
情けなくて、悔しくて。
修也が何を言おうとしたのか、分かってしまった。
その時、”聞いてはダメだ”
そう脳が判断して
気付けば彼にキスをしていた。
その言葉を聞いてしまえば
私はどんな手を使ってでも
生きたいと願ってしまうから。
自分の体の事は自分が一番よく分かってる。
だから…もう持たない事も分かってた。
そんな時の旅行。
修也の強く私を抱きしめてくれた腕。
私の本当の気持ちに気付いてくれた修也の言葉。
もう、十分だった…。