「その日、修也と智也と話をしてね、
あの子、数年ぶりに私の事を
”母さん”って呼んでくれて笑顔を見せてくれたの…。
あの瞬間は、本当に嬉しかった。」


思い出しているのか
目に涙を浮かべ話すお母さんの話を
私はじっと聞いていた。


「それから、今まで家の中に張り付いていた
冷たい空気がだんだん和らいで行って
今ではみんなが過ごしやすい家になった。
その時に聞いたの。
あなたを変えたのは誰?って。
そしたら、すごく愛しそうな笑みを浮かべて
”一架ってバカで真っ直ぐな女”ってそう言ったのよ。
それから私はずっとあなたに会って
お礼を言いたかったの。
修也を、そして私達家族を
救ってくれてありがとうって。」