しばらく大きな鏡の前で呼吸を整えて
トイレを出ると


「わっ!」


「あ…!す、すみません!!」


たまたまトイレの前にいた
綺麗な女性とぶつかってしまった。


「いえ、こちらこそごめんなさいね…。
って、あなたもしかして一架ちゃん…?」


え、何で私の名前…?


そんな私の気持ちが顔に出ていたのか
自己紹介をしてくれた。


「突然ごめんなさいね!
私、修也の母です。」


お、お母様…!?


「あ!は、は、はじめまして!
桜井一架と申します…!」


慌てたせいか
すごい勢いで頭を下げると
お母さんは上品に笑った。


「ふふ、そんなにかしこまらないで?
私、ずっとあなたに会いたかったの。」


私に…?