「誰だろう…?」


なんとなくその人が気になって
近付いてみると
私と同じ年くらいの男の子で、
月明かりに照らされた横顔は
とてもきれいで、
透き通るような茶色の髪をしていた。


そして


「…え?」


何故か、彼はフェンスの向こう側に立っていたのだ。


こんな状況、
普通自殺をしようとしているようにしか見えなくて、
思わず私は駆け寄った。



「ねぇ!何してるの?」


突然、声を掛けてきた私に
驚く様子もなく
ゆっくりとこちらを見た彼と
視線が交わった。


―――ドキッ


と、思わず心臓が
音を立ててしまうくらい、
彼の容姿は整っていて、
だけど、すごく悲しい目をしていた。



でも、そう見えたのは一瞬で
彼はすぐにふわっと
柔らかい笑みを浮かべ


「夜景を眺めてたんだよ。」


と、私にそう言った。