「梨央。」
足早に帰ろうとする梨央を呼び止め、
振り返った彼女に
「ありがとう。」
そう、伝えた。
「…なに、急に。」
すると照れたように梨央は俯いて
私の席まで戻ってきた。
「なーんも!
なんとなく言いたくなったの!
ほら、帰ろう!」
そう言って、はぐらかすように
梨央の腕を引っ張って教室を後にした。
「ね、今日遊んで帰らない?」
下駄箱に向かう途中、
梨央から誘いを受けたけど
「ごめん!今日は用事があって!
また誘って!」
顔の前で両手を合わせて
そう伝えると「ん、了解」と言って
昇降口を出たところで
梨央とは別れた。