お礼を言われるなんて
思っても見なかったから
最初は聞き間違いかとも思ったけど、
修也の声色はとても優しくて真剣で
心があったかくなる”ありがとう”だった。
それに精一杯答えるように
私も『どういたしまして』
そう返し、電話を切った。
「…よかった。」
詳しく何があったかは分からないけど、
多分家族とのわだかまりが
少しなくなったんだと思う。
あの修也がお礼を言うなんて…、
一歩踏み出したんだって
それを示すのには十分だった。
そんな修也に私も勇気をもらった。
頑張らないと。
頑張れる。
この気持ちを忘れないように
ノート1ページにびっしりと
書き綴った。