まるで、俺のさっきまでの出来事を
全部見ていたかような
すごいタイミングでそんな事を言った。
「…お前ストーカー?」
だからそう聞けば
怒るでもなく、焦るでもなく
『…って事はやっぱ
良い事あったんでしょ?』
と聞いてきた。
こいつエスパーか何かかよって
有りもしない事を考えながら
少し口元に笑みを浮かべた。
「…あったよ、いい事。」
さっきの兄貴と母さんの笑顔を思い出しながら言えば
電話越しでも分かるくらい
アイツは嬉しそうに笑ってるんだな
って声で『よかったね』一言、そう言った。
「…あぁ。」
『うん。』
しばしの沈黙。
満月を眺めながら
それを破ったのは
「ありがとうな。」
俺だった。